免許返納で受けられる支援サービスとは?

高齢化が進むにつれて、直面する家族の課題。

「免許返納」

ニュースでの報道を目にするたび「うちの親は大丈夫だろうか」と考えるご家庭も多いでしょう。

高齢者ご自身は、「自分はまだ大丈夫」と考えておられる方の中にも、「本当は返納できることならしたいけど、交通の便がなくなると困る」という現実的な悩みを抱えて、返納に踏み出せない方がほとんどではないでしょうか。

今回は、我が家の自主返納までの話から、それに伴う福岡市の支援サービスを中心にご紹介します。

高齢者運転マーク

■我が家の 免許返納のきっかけは「家族の安心」

親が高齢になってくると、「運転、大丈夫かな…?」と感じる瞬間が増えてきますよね。

本人にそれとなく返納の話をしても「まだ大丈夫」、「免許がなくなると不安」、「足がなくなってしまうとどうやって病院や買い物に行けばいいのか」と、やり場のない感情をどこに向けていいのかわからず苛立ちをぶつけてくる事も幾度もありました。

義親は個人経営をしている立場から仕事にも支障が出るため、移動の自由を奪うことが生活や仕事への不安につながるというのも、痛いほどよくわかります。

しかし、日ごろのニュースを見て本人も不安を感じる所もあり、何度も家族での話し合いを重ねた結果、

「自分たちだけが傷つくのは問題ないが、誰かを傷つけてしまうことがあってはならない」

全員の着地点はこの一点でした。

家族としても覚悟が必要でしたが、最終的に「安全には代えられない」と、一緒に決断できたことは本当によかったと思っています。

本人も不便をたまに口にすることはあるものの、それも「家族に車を出してもらう事への申し訳なさ」から来るもので気を使わせているのは重々感じます。

サポートする者は働き盛り、子供もまだまだ成長途中。正直、時間はいくらあっても足りません。

実親、義両親、全員分の車の代替手段に関して解決策を見出す事ができたのは、やはり「免許返納後の支援サービス」があったからだと感じます。

以下からは、福岡市が支援している支援内容をご紹介いたします。

■ 免許返納後にもらえる「運転経歴証明書」とは?

外部リンク~「福岡県警ホームページ”運転経歴証明書交付又は運転経歴情報の記録申請”」

運転免許を自主返納した後、希望すれば「運転経歴証明書」を発行してもらうことができます(有償)
これは、顔写真付きの公的な身分証明書として全国で使用できます。

※令和7年3月24日から、運転経歴証明書の交付のほか、個人番号カード(マイナンバーカード)に運転経歴情報を記録する運転経歴情報記録個人番号カード(マイナ免許証)の申請を行うことができます。(引用”福岡県警HP”)

◎ 有効期限はなし・一度発行すればずっと使える

運転経歴証明書には有効期限がなく、生涯使えるのも大きなポイント。
「免許を返納したら身分証がなくなるのでは…?」と心配される方もいらっしゃいますが、こちらを取得すれば安心です。

◎ 福岡県内での申請方法

福岡県では、以下の場所で申請が可能です:

  • 最寄りの警察署(運転免許課)※交番や駐在所は不可

  • 各運転免許試験場(福岡・北九州など)※ゴールド免許センター不可

必要書類や発行手数料(1,150円程度)は、福岡県警の公式サイトでも確認できます。
申請は免許返納と同時または、返納から5年以内に行う必要がある点にはご注意ください(詳細は県警ホームページを必ずご参照ください)

運転免許を返納された高齢者の方が、福岡市の支援サービスを利用する際には、この「運転経歴証明書」または「申請による運転免許の取消通知書」の提示が必要です。

■ 福岡市の「免許返納者支援」制度

〇 公共交通機関の割引や優待

バスや地下鉄の利用をサポートするための優待制度もあります。

【西鉄バス】「グランドパス65」

【福岡市地下鉄】:「ちかパス65」

詳細は各サービス事業者までお問合せください。

〇タクシー料金の補助(一部地域)

一部では、高齢者向けにタクシー料金の一部補助制度も設けられています(要件あり)。

外部リンク参照

詳細はお住まいの地域の担当課にお問い合わせください。

〇令和6年度(~令和7年9月30日まで)高齢者乗車券

福岡市では、高齢者の社会参加を支援するため、交通費の一部を助成する「高齢者乗車券」を交付しています。

※高齢者乗車券の交付を受けるには、毎年申請が必要です。

以下の条件を両方満たす方が対象です:

  1. 福岡市に住民登録があり、満70歳以上の方(70歳の誕生日前日から申請可能)

  2. 令和6年度の福岡市介護保険料所得段階区分が1~7の方

ただし、以下の手帳をお持ちの方は「福祉乗車券」の対象となるため、高齢者乗車券の交付対象外です。

  • 身体障害者手帳1~3級

  • 療育手帳A

  • 精神障害者保健福祉手帳1級

  • 戦傷病者手帳

  • 被爆者健康手帳

💳 乗車券の種類(いずれか1つを選択)

  • 交通用福祉ICカード(地下鉄・西鉄バスなどで利用可能)

  • タクシー助成券

  • 福岡市営渡船乗船引換券

  • その他地域限定の乗合バス・タクシー回数券(例:なぎさ号、チョイソコふくおか等)

💰 交付額

所得段階および申請月により異なります

  • 所得段階1~5:12,000円分

  • 所得段階6・7:8,000円分

※令和7年1月以降に申請した場合、交付額が減額される可能性があります。

4月~6月申請月の場合

  • 所得段階1~5:6,000円分

  • 所得段階6・7:4,000円分

申請方法は郵送、オンラインなどがございます。

詳しくは福岡市公式ホームページにてご確認ください。

外部リンク~”福岡市HP”


鍵の受け渡し写真

■ 新しい生活リズムに慣れるまで

親の免許返納をサポートして感じたのは、返納を「やめること」ではなく「新しい生活サイクルの確立」として家族で受け止めることが大切だということです。

もちろん、移動の自由が狭まるのは不安です。 でも、家族の安全、地域社会でのつながり、支援制度の活用など、支える手段はたくさんあります。

もちろん、それで全てが解決できる訳ではありません。

正直言って、支援はいくらあっても足りないと感じるでしょう。

交通網の少ない場所では、直面する悩みはもっと深刻かと思います。

我が家も新しい生活リズムに慣れるまで家族全員の「辛抱」の期間はありましたが、福岡市の支援制度は、「これがあって助かった」という場面も多く感じることがありました。。

困った時の「次のステップ」を手助けしてくれる存在としてとても重宝しています。


■ 最後に

高齢のご家族が運転を続けるかどうか迷っている方、ぜひ福岡市のサポート制度を一度ご確認ください。 そして、「免許返納=不自由」ではなく、 「安心と安全のための選択肢」として、前向きに話し合ってみるのも一つのきっかけになると思います。

外部リンク~「運転免許を返納等された高齢者に対する支援サービスの紹介」福岡県ホームページ

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